勤務管理方針を
 策定しましょう


① 社員のみんなが働きやすい職場環境の創造をどのように進めますか?

働き方改革の促進やネットワーク機器の発達で、働く場所や時間の柔軟性が高まってきました。一方会社としては、健康で生産的な働き方を可能にする環境づくりが求められています。その一環として、誰でも理解・運用できる勤怠管理方針と、効率的に運用できる仕組みの必要性が高まっています。


② 法令への対応(Compliance policy)はできていますか?

固定勤務制度か変形労働時間制か、選択している就業形態によって時間管理方法が異なることがあります。また、休日の設定方針によって、休日勤務した場合の扱いが変わることがあります。法令に対応した勤怠管理を進めるために、方針と運用を整備する必要があります。


③ 社員のみんなが働きやすい職場環境の創造をどのように進めますか?

今と比べて10年後は、社員数や事業所数、雇用形態はどのように変化しているでしょうか。また人事部の体制はどうなっていくでしょうか。組織構造変化に柔軟に対応していくために、勤怠管理方針をあらかじめ定めておくことが求められます。



 ~コラム~ 改めて確認! 労働法制の遵守


勤怠管理の必要性については、労働基準法、労働安全衛生法で定められています。

主な点を改めて確認しておきましょう。


  • 労働時間の適正な把握
    事業主は、労働者の労働時間を記録し、保管しなければならないとされています。また、休日取得や長時間労働については法律の基準を守り、残業の過少申告などにも留意する必要があります。

  • 労働時間と社員の健康の適正管理
    長時間労働の防止や、メンタルケアなども含めて、社員の健康を促進する義務が事業主にはあります。休暇取得の状況を把握し、取得促進をすることもその一助です。

  • 正しい給与計算に基づく賃金支払い
    あらかじめ定められた賃金だけでなく、普通残業や深夜残業、休日出勤などをす べて反映し、賃金支払いをする必要があります。そのためにも、正しい勤怠記録 は必要となります。



  現状の勤怠管理上の課題を洗い出す



①自社の現状の勤怠管理レベルを確認します。


②法令とのギャップ、規程と運用との乖離を確認します。

各ステージ毎の、法令との乖離の一例を紹介します。
就業形態・雇用契約書を確認し、現在の運用とどの位乖離があるのか確認しましょう。


③目指すレベルを設定し、到達するうえでの課題を明確化します。

現在の運用と、法令・就業形態・雇用契約書との乖離が見えてきたら、まずはどのレベルまでを目指すか決定しましょう。
今まで全く勤怠管理を行っていなかったのに、いきなりすべての管理を徹底させるのは社員にとってハードルが高すぎるかもしれません。また、今までは社員の自己申請による残業代のみ支払い、知らないところで社員がサービス残業をしていた場合、いきなり勤怠記録どおりにすべての給与を支払うのは、会社にとってなかなか難しいかもしれません。
ステップアップで、会社にとっても社員にとっても納得の行く勤怠管理ができるように目指しましょう。



勤怠管理レベル


<自社の現状>

勤怠データ分析をもとに人事管理が行われている


<乖離の状況>

乖離なし


<課題>

継続運用



勤怠管理レベル


<自社の現状>

上長が管理監督者として、管理監督者本人と部下の勤怠管理を把握し、承認処理を行っている。(申請・承認・提出フローが確立されている)


<乖離の状況>

労働時間の限度は原則1日8時間・週40時間、有給休暇の年5日以上取得などの遵守状況についても、上長が把握・指導することが求められます。


<課題>

現状の課題を把握し、必要な勤怠データを定義します。



勤怠管理レベル


<自社の現状>

勤怠記録は取れており、記録に基づく給与計算を行っているが、上長は部下の勤怠状況を把握していない。


<乖離の状況>

「労務管理を行う部署の責任者は、労働時間の適正な把握と適正化に関する責務がある」という指針が義務化となりました。


<課題>

勤怠管理の業務フローを整備し、申請・承認ルールを確立します。



勤怠管理レベル


<自社の現状>

勤怠記録を行っているが、記録に基づく給与計算を行っていない。


<乖離の状況>

月給制をとっていたとしても、月の勤務日数や時間外勤務の有無を確認・反映したうえで給与計算をおこなう必要があります。


<課題>

就業規則・雇用契約の内容を把握し、給与計算方法を確立します。



勤怠管理レベル


<自社の現状>

勤怠記録を行っていない。


<乖離の状況>

「使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」と定められています。


<課題>

まずは打刻を習慣化、記録化していくところから着手します。



注:「勤怠記録」とは、出勤・退勤を客観的に記録することです。



 ~コラム~
ステージ3を紙とExcelの運用ですると、どうなるかイメージしてみましょう。


申請・承認・提出フローが確立されている「ステージ3」の状況を考えてみます。
労働法令は当然遵守しなければなりませんが、上長が法令遵守しながら、部下の勤怠を正しく把握する事は、容易な事ではありません。

「雇用形態、就業形態の多様化」「働き方改革をはじめとする法改正」「コンプライアンス意識の高まり」を背景に、行政の指導は強化され、労使トラブルも増加傾向にあります。
そのような環境変化に対応するためは、更に多様化・複雑化・高度化した勤怠管理が求められます。つまり、きちんとやるなら勤怠管理の業務量は増えてしまうのです。

例えば、20人の部下を持つ上長が、日々タイムレコードを見ながらExcelに手作業で入力し、部下の勤怠時刻の申請・残業申請等を参照しながら、就業規則に則っていない申請に対しては修正を依頼し、今月社員は実際に何時間働いたのか、36協定の上限に達していないかを逐一管理すると、相当の時間をとってしまいます。本来やるべきマネジメント業務の時間が圧迫されてしまうのは避けたいところです。

管理・考える作業を勤怠システムに頼ることで、上長の業務量は削減しつつも、正しく部下の勤怠を把握できるようになります。

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